ベーハ小屋をモチーフにしたさぬきうどんのお店が浜松市に
田んぼを横目に眺め、鎮守の杜を背後に背負った絶好のロケーションに、越屋根が印象的な佇まいをみせる、讃岐うどんの店「野の香」。それは、“さぬきの原風景”をコンセプトに、香川に多く残る 煙草の乾燥小屋=ベーハ小屋をモチーフにしたものです。
居心地のよい店づくりのために古材を
うどんの味わいだけでなく、居心地のよさを感じていただける店づくりを心がけたという大将のおもてなしのこころが伝わってくる内装は、古木里庫から送られた梁や玄関の建具などの古材を使用して建てられました。設計は菅組代表の菅が自ら手掛けたもの。「ゆっくり落ち着いてさぬきうどんを味わえるお店にしたい」という大将の思いを叶えるべく、讃岐らしいお店づくりをお手伝いさせていただきました。
讃岐と遠州を結んだ思いのあるプロジェクト
施工は菅組と同じくパッシブな家づくりに取り組む浜松の工務店が引き受けてくれることになりました。木部には柿渋を塗り、壁は大将自らがDIYで仕上げたといいます。丸太梁や玄関の建具、アンティークな置き家具とあわせて、新築でありながらどこか懐かしい空間ができあがりました。
開店早々、行列のできる人気店に。
香川での修行時代に500軒以上のさぬきうどんの店をまわりったという大将がつくりだすさぬきうどんは、評判が評判を呼び、カウンター12席、テーブル席14席の店内は、お昼どきには連日満席。お店の外にも長蛇の列ができる人気となっています。
古材を使ったお店を出したいと思っていたときに偶然見つけたのが古木里庫でした。社長の菅さんの考えにも共感するものがあり、浜松と香川という距離はありましたが、古材とあわせてお店づくり(設計)をお願いすることになりました。さぬきうどん同様、建物もさぬきの原風景を感じられるものになったのではないかと思っています。
竣工年:2010年
基本設計:菅組一級建築士事務所(担当:小野 学)
実施設計/施工:有限会社入政建築